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「………」
その姿を見て、俺は呆気にとられたようにその場に立ち尽くしてしまった。
「…あ、あの……?」
それは、買い物袋をやたらと沢山抱えたその少年が、夕暮れの森の美しさに劣らないほどの美貌だったからでも、その瞳が初めて見るような透き通った紫色だったからでも、誰も居るはずのない場所に自分以外の人間が居たことに驚いたからでもなくて……
「ロート……?」
「…え?」
「………
…!
あ、いや、ごめん、何でもねーんだ!」
「?
は、はぁ……」
(…何を言ってるんだ俺は?
あいつは今22歳で、年齢が全然違うだろうが。
瞳の色だって違うし、そもそもあいつがここに居るわけないっつーの!)
「悪ぃな。知ってる奴に激似だったもんだから、ついポロッと」
「そう、なんですか?」
……そう。
初めて出会ったその少年の姿に、あまりによく似ている奴を知っているからだった。
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