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「………」
「………」
紫色の瞳が、俺をじっと見つめる。
何に例えたらいいかわからない、今まであまり見たことのない、不思議な紫。
…これは、何の色なんだろう………
「誰かに似ているなんて、はじめて言われました」
「…え?」
1人でぼんやりと考えていると、紫の瞳の彼は買い物袋を重そうに抱えたまま、――俺に向かってふんわりと微笑んだ。
「よくわからないけれど、なんだか嬉しいです」
(嬉しい…?)
「?
そうか? そりゃよかった……」
知らない奴に似てると言われて、嬉しいものなのだろうか?
変わった奴……。
「その制服ってことは…同じ学校の人ですよね?」
「…ん? あー、そうだな。俺2年だけど」
「僕は1年です」
「あ~、それならお互い知らなくて当然だな」
ウチの学校は、一体誰が何の方針でこんな風にしたのか不明だが、学年ごとに校舎が完全に別離されているのだ。
共通のエントランスすら持たないもんだから、他学年なんてもはや、ヨソの学校同然だ。
部活でもやっていない限りは、1年生と2年生が顔を合わせることなど、まず滅多にない。
(そっか……
1つ下の学年に、こんなにあいつそっくりの奴がいたんだな…)
そう思った時、俺は無意識に声に出して呟いていた。
「なんか、偶然とは思えないな」
「…?」
きょとんとした顔で俺を見つめるそいつのことを、なぜだかもっと知りたくなった。
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