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眼科で初めての装着に一時間、更に外すのに一時間かかったが、初めてならきっと誰もが手こずるはずだ。今では着けるのも外すのも、それぞれ十分程度で出来るまでに成長した。
次は髪。ここは眼鏡と同じくらい一目で変化に気付きやすい、大きなポイントだ。
派手に色を抜こうと思ったが、パッチテストをした結果、皮膚が真っ赤になってヒリヒリ痛んだので、美容院で極力頭皮に優しいカラーリングをお願いした。思い描いていたものより随分おとなしい色になってしまったのは、まあ仕方がない。元が真っ黒だったのだから、茶髪になっただけでも充分な変化だろう。
ここまででも、淳平としては相当なイメージチェンジだ。でも、まだ足りない。
これだと、『暗い高校生』が『どこにでも居る高校生』になった程度だ。
暗くて陰気で弄られやすいキャラを脱却するには、周囲をもっと圧倒するインパクトが欲しい。
───そう、ピアスだ。
インドアだったお陰で、これまで大した怪我をしたこともない人生を送ってきた。そんな自分が、自ら身体に穴を開けるのだ。
針が耳朶を貫通しているところを想像するとゾッとしたが、こんなところで引き下がっては男がすたる。
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