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それは所謂、番長的なアレなんだろうか。そんなものがまだ存在してるのか?、と思ったが、よくよく考えるとK高でも柄の悪そうなグループは何度か見かけたことがある。その手の集団のリーダー的な存在だったりするのだろうか。
「……その上イケメンとか文句無しだよね、楠木くんて」
続く言葉を耳にして、淳平は衝撃の事実に気が付いた。
───顔だけは変えられねぇ……!
淳平の変化は、自身の中ではそれこそ劇的なビフォーアフターだ。
だが、例え眼鏡をコンタクトに変え、髪を染め、ピアスを開け、肉体改造に励んだとしても、生まれ持った顔だけはどうしようもない。
淳平の顔立ちは、どんなに過剰評価しても精々中の上。平均以下じゃないだけマシなのだろうが、容姿を褒められたことなんて一度もない。
一年半越しの準備と覚悟の末に決行したイメチェンも、所詮イケメンの前では何の意味もないということなのか。……楠木って誰なのか、全くわからねぇけど。
ショックと同時に、会ったこともない楠木とやらに対する嫉妬心が、ジリジリと湧き上がってくる。どんなヤツなのかは知らないが、他校の、しかも年下らしい相手に話題を掻っ攫われるなんて、浮かれていた自分が馬鹿みたいだ。
顔面偏差値では大きく負けていたとしても、腕っ節ならまだまだ鍛えようがある。
「……冗談じゃねぇぞ。首洗って待ってろ、楠木……! ……誰か知らねぇけど」
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