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シャーペン……はさすがに折れないので、淳平は顔も知らない相手を思い浮かべながら、静かに消しゴムをへし折った。
「来週、ウチの学校でI高のバスケ部と練習試合やるらしいよ」
「マジ? 絶対見に行こ!」
「楠木くん、インターハイで既にレギュラー入りしてたから、絶対試合見られるよね」
「バスケの強豪校で一年からレギュラー入りして、その上成績も学年トップってもうチートレベルじゃない?」
「神、色々与えすぎだよねー。……そういえば、なんかあの子もいきなり雰囲気変わったよね? 急に見た目垢抜けたっていうか」
「ああ、そうそう! 前は黒髪で眼鏡だったし、超地味だったよね? てか一回も喋ったことないから、実は名前わかんないんだわ」
「アタシも! だから今更声かけらんない」
などと教室の隅で盛り上がる女子たちのやり取りは、最早淳平の耳には微塵も届いていなかった。
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