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side.楠木 1
───これは困った。
つい今しがた、隣のクラスの生徒から受け取った手紙を見詰めて、楠木友春は溜息を零した。
いや、そもそもこれは手紙と呼んでもいいのだろうか。
どう見ても、適当に千切り取られたキャンパスノートの一ページ。それをこれまた適当に四つ折りにしただけのもの。
おまけにその内容も斬新だった。
『 果たし状
拝敬
一年にしてI高トップの強いクスノキ様
夕方五時 図書館裏の〇〇公園にて待つ
勝負でござる 』
……さあ、どこから突っ込もうか。
果たし状なるものを受け取るのなんて、後にも先にもきっとこれっきりだろう。
しかし、送りつけられた理由に全く心当たりがない。
冒頭の『果たし状』に関しては、いっそ一周回って新しいから一先ず置いておくとして。
盛大な出オチ、『拝敬』。恐らく『拝啓』と書きたかったのだろうけれど、誤字はさておき、果たし状に『拝啓』なんてわざわざ書くものなんだろうか。
更にその先も、楠木にはよくわからない言葉がつらつらと並んでいる。
───『I高トップ』って、一体何のこと?
学年? それならまだ一年生の楠木は、最下級生だから違う。
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