side.楠木 2

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side.楠木 2

   ───翌日。 「これ、さっき正門出たとこで、K高のヤツから受け取ったんだけど」  部活中の体育館へ、二通目の手紙を届けてくれたのは、同じクラスの図書委員だった。  K高、という時点で、もうそれ以上差出人について聞くまでもなかった。昨日の今日だ。きっと『果たし状』の主に違いない。  行けないと伝えることすら出来ないことが、ずっと楠木の心に引っ掛かっていたのだが、手紙の不備に気付いてくれたのだろうか。  タオルで汗を拭きながら受け取った手紙は、今度はちゃんと封筒に入っていた。  てっきり今回は封筒に『果たし状』の文字が書かれているのかと思いきや、表には『I高トップの最強クスノキ様』と書かれている。  ……やっぱり持ち上げられているのか、揶揄われているのかわからない。しかも何故か『最強』にレベルアップしている。  封筒の中には、またしても千切り取られたノートの一ページが、折り畳まれて入っていた。  何となく見るのが怖いような気もするけれど、思いきって広げてみる。 『 果たし状   拝敬   夕方の五時(十七時) ××市立図書館裏にある〇〇公園のベンチ付近で待つ   勝負しろ 』 「だから違うんだって……!」     
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