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でもちーはにいちゃんが好きだ。
かみなりじいちゃんの柿の実は、ホントはちーが美味しそうだね、と言ったから
取ってやるよ、と木によじ登って
ぽんぽんとちーに放ってくれて、ちーも食べちゃったし
お隣の畑のお家には、いつもオヨメさんにいじめられている
ちーよりちっちゃいみたいなおばあちゃんがいて
そのばあちゃんと一緒に煮っころがしを食べたんだよ。
本当はそのおばあちゃんが、おいしいおいしいってほとんど食べたんだ。
近所の男の子は、いつもちーの髪を引っ張るから
にいちゃんが怒ったんだ。
「ちーをいじめていいのは、俺だけだからなっ!」って。
なによそれー。
普通は『俺の妹をいじめると許さないからな!』でよくない?
とうちゃんにやっと買ってもらったお人形の
髪の毛を切っちゃったのは悔しいけど
後でぼそっと「ちーと同じ髪型にすればいいと思ったんだよ。」って言われた。
「なんでなんで?せっかく綺麗な長い髪の毛だったのに。」
ちーがまだべそをかきながら言うと
「そのほうが可愛いからに決まってるだろっ!」とまたゲンコツをされた。
「こらっ!ケンジっ!」
また大泣きした私の声に、かあちゃんがとんできてにいちゃんを叱った。
かあちゃんの手がにいちゃんの頭に届く前に、にいちゃんはさあって飛びのいて
遠くでまた あかんべをしていた。
かあちゃんはため息をついた。
「ケンジはまともな大人になってくれるのかねぇ・・。」
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