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そのあとにいちゃんはついてこい!と言って駄菓子屋さんに連れて行ってくれた。
そしてちーの大好きな、大きなラムネ菓子を3つ買ってくれた。
ラムネは綺麗な透明の色のセロファンに包まれている。
赤色と青色と緑の色。
赤色のセロファンをぱりぱりとひらくと、真っ白なお薬みたいなラムネがでてくる。
お口に入れると、しゅわーって甘い海の色の風みたいな味がする。
赤いセロファンをすかして見ると、世界中が赤い宝石の中にあるみたい。
その宝石に、にいちゃんがむつかしい顔をしてこちらを見ていた。
「にいちゃん、ありがと。おいしいよ?」
にいちゃんはうん。といって眉をしかめた。
それから、ちーの顔を見て言ったの。
「ちーは少しみんなと見かけが違うかもしれない。
でもそれはちーがちーであることなんだ。
見かけだけでちーを見ることしかできないやつは、馬鹿だ。
そんなやつはほおっておけ。」
そしてちーの頭を乱暴にいいこいいこと撫でてくれた。
それから先にすたすたと前を歩いて行く。
「あ、待ってにいちゃん!」
ちーは慌ててセロファンをポケットにしまった。
ポケットの中セロファンが、
残ったラムネとこすれてしゃらしゃらと音をたてた。
にいちゃん は数歩先で立ち止まり、振り向かないままで言った。
「俺はちーの白い髪の毛も、薄い目の色も大好きだからな。
俺はいつもどんな時も、ちーの味方だからな。」
そしてどかどかと足早に帰ってゆく。
お口の中のラムネがしゅわんと溶けて、お鼻の奥がつんとした。
ちーは走ってにいちゃんを追いかけた。
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