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次の日、かあちゃんが学校の門まで送ってくれた。
「大丈夫だよ、ちー。」
登校してくる生徒たちが、何事だろうとじろじろこちらの様子を伺っていた。
担任の女の先生がちーとかあちゃんをみつけて走ってきた。
かあちゃんが頭を下げて挨拶すると、先生が言った。
「ちーちゃんの白い髪はどうしても目立ってしまいますから、
今度は髪を染めてきた方がいいかもしれませんね。」
「先生。」
かあちゃんは静かな、でもきっぱりした声で言った。
「ちーはこの姿が本当のありのままのちーなんです。
それを恥じるようには育てていません。」
そして深々と頭を下げた。
「どうかこのままのこの子を受け入れてやってはくれませんか?
この子は色素障害をもっているだけの、普通の優しい七歳の女の子なんです。」
先生は真っ赤な顔をして下を向いてしまった。
「失礼いたしました。ちーをよろしくお願いします。」
かあちゃんはそう言うと、いつもよりもうんと優しくちーの髪をなでてくれた。
ポケットの中でにいちゃんがくれたラムネのセロファンが
しゃりしゃりと音を立てて、負けるなよ、ちーと言っていた。
ちーはにっこりとしてかあちゃんに手を振って、
校門をぴょんとまたいで、教室へと走っていった。
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