4咬み目

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4咬み目

「迎えに来たぜ、優牙、銀!」 「おはよう、直江。今日はありがとな。」 「ワンッ!」 「なぁ、その会社の先輩、花森さん…だっけ?もともと銀みたいな大型犬に興味あったのか?」 「んー、どうだろう。そもそもプライベートで会う程仲良くもなかったし、犬や猫にも興味なさそうな感じで、銀に会いたいって言ってきたのも本当に急だったんだ。」 「ふーん……優牙は年上キラーだったんだな、いやーやるね。」 ニヤニヤと唇の端を歪めながら、直江が爪先で軽く蹴ってくる。 「いや、意味わかんないから。」 「またまた~、女がペットが見たいって言うのは口実らしいぜ。目当ては飼い主。」 「いや、それはない。花森さんはジョニー・デップ一筋だと断言してたからな。」 しばらく雑談をしながら公園までの道を歩いていると、ふいに直江が立ち止まる。俺も銀も不思議に思い振り向いた。 「直江?」 「なぁ、優牙最近どこかお参りに行った?パワースポットとか?」 「…いや、どこも行ってないけど。なんかお前が真剣な顔でそういうこと言うと迫力あるな。なんか感じるか?」 「んー、はっきり何かが視えるわけじゃないんだけど、どこかこう…守られてるっていうか、大げさに言うと神気に似た空気を感じるんだよな。キラキラしてるような?…上手く言えないんだけど、オーラ?っぽい」 首を傾げながら、俺とその周りを視るように直江が言う。 「心当たりは無いな…でも悪い感じじゃないんだろ?ならなんでもいい。」 「優牙のその意外に肝が据わってる感じ嫌いじゃないぜ。」 一瞬、ほんの一瞬だけ、やたらと豪華な神主風の着物を着たジンが脳裏を掠めたが、あれは夢だ。しかもあいつは自分が神さまだなんて一言も言っていなかったし。
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