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正義のためにハンターをやっていたが悪に手を貸した覚えはない。俺はそんなハンターに失望しやめた」戒は訴えるように言った。
救は笑い出す。
「今、お前のしている事も正義なのか? 人を悲しみや憎しみから救いたいと言っているが悪人とはいえ人間を傷つけているお前は正義なのか?」救は聞いた。
戒が言おうとした時、空は戒の肩に手を乗せ後ろに下げる。
「俺たちが今やっている事は正義だと信じている。苦しんでいる人間は救い、悲劇を生んだ人間は潰す、それが俺たち怪盗の正義だ。それは戒も同じだ」
その姿を夢都は見守る。
「まぁいいか。じゃあな」救は態度を変えず去っていった。
両者嫌な空気が漂っていた。
夜、夢都達はアジトにいたが三菜はいなかった。
夢都達はショックだった。
今まで一緒にやって来た仲間が実はスパイだったため。
そして空達も戒がハンターだった事に驚いていた。
「……でも戒がハンターだろうか何だろうか俺たちには関係ないんじゃないのか?」貴虎は言った。
「そうだね。私たちはずっと一緒にやって来たんだし」恵令奈も同じだった。
しかし戒の表情は暗かった。
「俺は反対だな」龍は否定的だった。
全員思わず龍を見る。
龍は怒りを臭わせながら出ていった。
「あいつ…何で」貴虎は呟いた。
「龍は悪をとても嫌っている。それは龍がずっと騙されながら生きてきたからだ。だから悪人の知り合いであってもあいつはそれを許さないんだ」
それを聞いた牡矢たちは重い表情になる。
龍は公園にいた。
そこに貴虎と鮫来がやって来た。
「何の用だ?」
「……戒はハンターだったかもしれないがでもあいつは悪に力を貸さなかった。それで良いじゃないか」
「そんなの納得いくわけないだろ:龍は否定的だった。
「だが戒は人を救いたいからここにいるんだろ」貴虎も言った。
龍は考える。
戒はソファーで休んでいた。
「でも何で救を裏切ったの?」恵令奈が聞いた。
「泣いている人間を見たくないからだ」戒は1言で済ませた。
しかしその思いは恵令奈に伝わった。
そして当日、戒は雅美の家に行ってビデオの確認をしていた。
「ビデオはセットされているだろ」龍が指摘する。
「ちゃんと録画できるが確認している。それにもし失敗すれば彼女を余計失望させるだろ」
真面目な戒を見て龍は思った。
――戒は救とは違う。
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