女の子と約束

1/1
前へ
/5ページ
次へ

女の子と約束

少しずつ春に近づいているのか、雪が溶け始めたある日。 俺は、いつものように、女の子と話しをしていた。 すると、女の子は急に暗い顔になり、普段とは違う、強気な声で 「あっ・・・明日はここに来ちゃ駄目だよ!・・・絶対に・・・!」 「なんだよ?急に・・・いつもは明日も必ず来てってごねるのに・・・?」 女の子はただ首を横にいっぱいいっぱいに振りながら 「駄目なの!!明日は・・・絶対に駄目・・・」 だんだんと弱くなるその声に、俺は折れた。 少しだけ女の子に近づき、女の子の頭の当たりをポンポンと軽く叩き 「わかったよ・・・明日はここに来ない、それでいいんだろ?」 それまで、暗い顔をしていた女の子の顔がパアァっと明るくなった 「約束だよ!はい!指切り!」 と差し出された小指に、自分の小指を絡め、子供みたいに歌をうたって、その日は別れた。 でも俺は約束なんて守る気もなくて、彼女が来ちゃ駄目と言う理由が知りたくて、明日もいつも通り逢いに行くつもりだった。 なのに・・・約束の日はまるで彼女が俺に逢いたくなくて、俺を拒むように吹雪になった 「これじゃ・・・行きたくても行けねーよ・・・」 窓の外の真っ白な世界を睨みながら、俺は呟いた。 その吹雪は次の日の朝まで続いた、そして、その日を境に俺は、その子に逢いに行くことはなくなった。 正確には、逢えなくなってしまった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加