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女の子と約束
少しずつ春に近づいているのか、雪が溶け始めたある日。
俺は、いつものように、女の子と話しをしていた。
すると、女の子は急に暗い顔になり、普段とは違う、強気な声で
「あっ・・・明日はここに来ちゃ駄目だよ!・・・絶対に・・・!」
「なんだよ?急に・・・いつもは明日も必ず来てってごねるのに・・・?」
女の子はただ首を横にいっぱいいっぱいに振りながら
「駄目なの!!明日は・・・絶対に駄目・・・」
だんだんと弱くなるその声に、俺は折れた。
少しだけ女の子に近づき、女の子の頭の当たりをポンポンと軽く叩き
「わかったよ・・・明日はここに来ない、それでいいんだろ?」
それまで、暗い顔をしていた女の子の顔がパアァっと明るくなった
「約束だよ!はい!指切り!」
と差し出された小指に、自分の小指を絡め、子供みたいに歌をうたって、その日は別れた。
でも俺は約束なんて守る気もなくて、彼女が来ちゃ駄目と言う理由が知りたくて、明日もいつも通り逢いに行くつもりだった。
なのに・・・約束の日はまるで彼女が俺に逢いたくなくて、俺を拒むように吹雪になった
「これじゃ・・・行きたくても行けねーよ・・・」
窓の外の真っ白な世界を睨みながら、俺は呟いた。
その吹雪は次の日の朝まで続いた、そして、その日を境に俺は、その子に逢いに行くことはなくなった。
正確には、逢えなくなってしまった。
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