もう一つの歴史

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しばらくの間、沈黙が続いたが、目の前に座る斎藤君は、小さく首を左右に振ると腰を上げた。 「すまない、俺はそろそろ失礼させてもらう」 「彼らに何か心当たりでもあるのですか」 「いや、何も……。では」 「・・・」 様子のおかしい斎藤君を眉をひそめて見つめたが、そのまま彼は、襖を開けて出て行ってしまった。 僕は、腕を頭の後ろで組んで枕にし、天井をぼんやりと眺める。 一体……僕の周りで何が起きている……。 辻斬りが起きるようになってから、不可解なことが僕の周りでも、僕の身にも実際に起きている。 白髪の青年に……何か原因があるのか。 それとも、今日出会った彼らに原因があるのか。 少なくとも僕が異世界の地で彼らと出会ったのには、何か意味があるはずだ。 意味が無ければ、納得できない。 僕は、また一つ溜息を吐くとゆっくりと瞼を降ろした。  
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