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プロローグ 打ち切りですか!?
プロローグ
「う、打ち切りですか?」
「はい……。ごめんなさい。こちらとしても、続けたかったんですけど……。」
なんとも歯切れの悪い返事で、たった今契約を打ち切られた私は、安藤ななせ。
この会社で専属ライターをやっていた。
「来月いっぱいで……お願いします。」
部長は申し訳なさそうに言っているが、同期のライターで私だけ呼び出されたということは……。
「ひょとして、私だけですか?」
「……はい。言いにくいんですけど。」
どこがダメなの!? とか何がダメだったの!? とか言いたいことは山々だったけど、ここは大人としてぐっと飲み込んだ。
飲み込んだ、つもりだった。
「な、なんでですか!」
しまった。部長に聞いたところでまた歯切れの悪い返事をされるだけだ。
あっちゃーという顔をして、部長の返事をまった。案の定、困った顔をしている。
そしてひねり出すように部長は言った。
「あ、安藤さんなら、他でもやっていけるし……フリーでもきっと!」
はああああ!? ひねり出した言葉がそれかい! 大体ライターの仕事を勝ち取るのがどんだけ難しいかアンタ知ってるだろ! ……ってそんなことは口に出せず。
落ち込んだ心を引きずって、はいわかりましたと泣く泣く返事をして、呼び出された部長室を出た。
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