第一章 浅草

2/5
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
外は相変わらずごった返す人、人、人。 外国人から日本人まで幅広い。 「お姉さん! 乗ってかない?」 そして声をかけてくれるのは、名物人力車だ。 さわやかでほんのり焦げた肌の男の人。流石は人力車の引手、引き締まった体と、人よりたくましい筋肉。清潔感もあってイケメンである。 よし、よく晴れた日だ。落ち込んでいるし風に当たろう!と思い立ちじゃああたりを一周で、とお兄さんの誘いに乗った。 ……決してイケメンにつられたわけじゃない。 「ありがとうございます。あたりを回ると一時間ほどかかるけど、大丈夫ですか?」 「大丈夫ですけど……結構長いんですね!」 「はい。でも、人力車って思ったよりスピードが出ますよ。」 「じゃあお願いします!」 荷台のような車まで一緒に歩き、さわやかイケメンにお金を渡して乗り込む。 まるでお姫様になったみたいに、踏み台を下ろされ、荷物を下に入れられて、そして―― 「じゃあ、発車しますね!」 威勢のいい声で人力者は出発した。 風が頬に当たって気持ちがいい。観光名所という事もあって、商店街や神社なんかが沢山だ。 「よく、人力車に乗りながらお参りする方もおられるんですよ!」     
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!