愛しの彼女

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私は、幼い頃から彼女の事が大好きだ。 『愛してる』と言っても過言では無い。 毎日、一緒に手を繋いで幼稚園に行った。 「沙羽(さわ)ちゃん、大きくなったら私と結婚してくれる?」 「うん!良いよ! あ!でも、美咲(みさき)ちゃんは女の子でしょ?」 「女の子じゃダメ?」 「女の子は、男の子と結婚するんじゃないの?」 「そんな事ないよー! ねぇ、誰が決めたの?」 「うーん。 分からないけど、パパとママは違うから」 「いいじゃん!しよーよ!ね?」 「うん!いいよ!」 「美咲、沙羽ちゃんの事ずっと好き!」 「沙羽も、美咲ちゃんの事ずっと好き!」 小学生になっても、一緒に手を繋いで学校に行った。 「美咲、死ぬまで沙羽ちゃんと一緒にいる! 沙羽ちゃん大好き!」 「沙羽も!死ぬまで美咲ちゃんと一緒にいる! 美咲ちゃん大好き!」 いつも、手を繋いでた。あの頃……。 彼女の手のぬくもりは、今でも忘れない。 沙羽ちゃんは、年を重ねるごとに美しくなって行った。 私は、沙羽ちゃんと同じ高校にも頑張って入学した。 沙羽ちゃんは、色白で大きな黒い瞳を皆に向けて、いつも笑顔を振り撒いていた。 スタイルも良くて綺麗な長い髪は男子から人気もありファンが多かった。 女子からも男子からも憧れの存在。 月日が経っても、沙羽ちゃんとは変わらず仲良くて家が近いのもあり、一緒に登下校してた。 でも、昔みたいに手を繋いではくれなくなった。 それでも、毎日こんな日が続くと願ってた。 それなのに………。 沙羽ちゃんに彼が出来た。 「美咲ちゃん、聞いて! 私、彼が出来たの!」 「本当に?!良かったね!」 私は笑顔で返した。 嬉しそうな沙羽ちゃんを見て、私も幸せな気持ちになった。 でも、それから一緒に登下校をしてくれなくなった。 私は寂しかったけれど、沙羽ちゃんが幸せなら私も幸せ! と、思う事にした。 沙羽ちゃんの彼の友達を紹介され、私は彼の友達と付き合う事になって 「お互い、幸せになろうね!」 沙羽ちゃんは嬉しそうに笑った。 「ありがと!幸せになろうね」 私も嬉しくて笑い返した。
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