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私と私の彼と沙羽ちゃん3人で一緒にお見舞いに何回も行った。
やっと長い入院生活が終わり、沙羽ちゃんの彼は退院した。
けれど、自宅での介護生活になった。
沙羽ちゃんと彼の両親は、日に日に痩せて行き、介護疲れが見て分かる程になってしまった。
施設に入れる話も出てきて、沙羽ちゃんは反対してたけど、結婚してる訳じゃないから彼の両親の意見に反論出来ない。
そんな時、沙羽ちゃんの彼が行方不明になったのだ。
「彼……。
自分が居ると周りに迷惑が掛かるって、よく言ってた……。もしかして……」
「沙羽ちゃん?
なに考えてるの?沙羽ちゃんを置いて逝く訳ないじゃん!絶対に会えるから!」
彼の両親は、警察に捜索願いを出した。
けれど………。
1週間経っても沙羽ちゃんの彼は見付からなかった。
「私は、笑ってる沙羽ちゃんが好きだよ?
そうだ!久しぶりに家に遊びに来たら?昔みたいに玩具は無いけどね」
沙羽ちゃんは少し微笑んだ。
「美人が台無しだよ。
それに最近、痩せたね……。ご飯食べて無いでしょ?」
「食欲無くて……」
「ちゃんと食べなきゃダメだよ」
「そうだね……。
食べなきゃね……」
「私が何か作ってあげる!
何が食べたい?あ!言わないで!私が決めるから」
「何それ!聞いておいて勝手に決めちゃうの?」
「沙羽ちゃん、やっと笑った!」
私は、沙羽ちゃんの手を取り、家に向かって歩いた。
昔みたいに………。
一緒に手を繋いで歩いた道。
暑い日も、寒い日も。
温かい沙羽ちゃんの手を握って。
手袋して一緒に握った手と手。
2人で手を繋いだ日々。
今は、お互い小さな手から大きな手になったね。
それでも、手を繋ぐと伝わってくる沙羽ちゃんの体温は心地良い。
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