愛しの彼女

5/7
前へ
/7ページ
次へ
「何か、懐かしい! 何年振り?」 「中学2年の時以来だから、3年だよ」 「入って!」 私は沙羽ちゃんを部屋へ招き入れた。 「変わって無いね」 「沙羽ちゃんにプレゼントがあるの」 「え?なんで?」 「自分の誕生日も忘れちゃったの?」 「あ!そうだった……」 「色々、あったからね」 私は、クローゼットへ向かい、目貼りして置いたガムテープをベリベリと剥がした。 「なにしてるの?」 「誰も開けない様に、保管して置いたんだよ」 そして、バン! と両開きのクローゼットを一気に開けて 「沙羽ちゃん誕生日、おめでとう!」 と言った。 白く、冷たい冷気が部屋を流れた。 「ひぇっ!」 沙羽ちゃんは腰を抜かした。 「嬉しい? サプライズだよ!」 クローゼットには、沙羽ちゃんの大好きな彼が、首を吊られてユラユラ揺れていた。 「彼に、ずっと会いたかったでしょ? だから私が会わせてあげたの。 後、これもオプションでプレゼント!」 私は、沙羽ちゃんの彼の右手と左手が入ったホルマリン漬けの瓶を2個、渡した。 「うっ!い、いやー!」 沙羽ちゃんは、瓶を投げ捨てた。 2個の瓶はカーペットの上に転がってしまった。 「あーあ。酷いね。せっかく回収して置いてあげたのに。 彼と、また手を繋げる様にと思って」 「ど、どうし、て? な、な、なんで……?」 「私と約束したじゃん!結婚も!死ぬまで一緒に居るって!! なのに、男となんか付き合って!私は、今でも沙羽ちゃんの事が大好きで、愛してるのに!」 「や、約束?」 「子供の頃に約束したでしょ?覚えて無いの?」 「こ、子供の頃……?そんな約束を……今まで……?」 「そんな?!私は本気だよ? なのに、コイツは私から沙羽ちゃんを奪って手を繋いで歩いてたでしょ?私の沙羽ちゃんの手を取って! だから、バイクに仕掛けして、右手を切断してやったら今度は、左手で手を繋いでたじゃない! 腹立ったから、左手もプレス機の電源落として潰してあげたんだよ! 彼に沙羽ちゃんが倒れて、私の家に居るって病室に伝えに行ったら、馬鹿だから直ぐに来たよ?笑えるよね?!あははっ!」 「全部、美咲ちゃんの仕業だったの……?」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加