愛しの彼女

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「ねぇ、沙羽ちゃん。 美咲の事、今も好き?」 「な、なに言って、るの? 美咲ちゃんにも彼がいるじゃない!」 「あんなのカモフラージュだよ?」 「え?どういう……」 「沙羽ちゃんが男を作ったから、私も作っただけって事。なにもないよ? ある訳ないじゃん!私は沙羽ちゃんの事が好きなんだから。ねぇ、答えて? 美咲の事、好き?」 「あ、頭オカしいんじゃないの!」 「オカしくない!悪いのは、沙羽ちゃんだよ!」 まだ腰抜かしてる沙羽ちゃんの後ろにあった、携帯充電コードを沙羽ちゃんの首に巻き付けた。 「死ぬまで、ずっと一緒って約束したでしょ?ねぇ?」 私は首を傾げて、沙羽ちゃんに問いかけながらコードで沙羽ちゃんの首を締めた。 ギリギリと……。 ゆっくりと……。 沙羽ちゃんの顔は真っ赤になっていった。 「や、め……ぐっ!」 沙羽ちゃんは、必死で手足をバタつかせた。 ズブッ! え? 私は、コードの手を緩め左手で首を触った。 生暖かい血が流れてきた。 自分の血のぬくもりを初めて感じた。 カッターナイフを私の首に刺さした沙羽ちゃんは、咳をしてゼェゼェ言ってる。 そして、沙羽ちゃんは満面の笑みを浮かべて笑った。 「ふふっ! あはは!美咲ちゃん、ありがとね!」 私は、首に刺さったままのカッターナイフを引き抜き、目を丸くした。 沙羽ちゃんの顔が血渋きで、良く見えないよ……。 仕方無いから左手で押さえた。 ガクンと両膝を着き、私は倒れた。 私は別人の様な沙羽ちゃんを初めて見た。 「ウザい彼を殺してくれて、ありがとうって言ってるの!アイツ別れてくれなくて、もうウンザリだったの! 美咲ちゃんが私の事を好きな事くらい昔から知ってたよ? だから、利用させてもらっただけ。美咲ちゃんなら、絶対に彼を殺してくれると思ったから」 パクパクしてる私に、沙羽ちゃんは優しくキスしてくれた。 「死ぬまで一緒。死ぬのは、美咲ちゃんが先だったけどね。 美咲ちゃん……。大好きだよ」 私は薄れ逝く意識の中で、沙羽ちゃんの唇の感触とぬくもりと、自分の血のぬくもりを感じながら 2人で手を繋いだ手のぬくもり、そして約束を思い出していた。
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