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次の日も狩りは続いた。アーチェリーで国体出場まで果たしたxyzさんは見事なアーチェリーさばきで小動物を射止めていった。山が大好きなサバイバル経験を多く持つヤマオトコさんがそれを調理する。ヤマオトコさんが持ち込んだテントは冬でも快適に過ごせるものだった。佐藤りなさんは小言をもらしながらも雑務をこなしていた。多分彼女が一番有能かもしれない。
「みなさんの意見をお聞きしたいんです」
リーダーとしての威厳などどこにいったものか。微かな声で食事後の会議に僕はみなの顔色を伺うのだった。
「いつになったらこの森を抜け出せるのか」
xyzさんはこう主張した。
そもそもあなたはアーチェリーの腕だけで魔法が使えないんですよね、と思ったものの日々の食料は彼のおかげだから声だかには言えない。
「いつまでもここにとどまってわけにはいかないな」
そうヤマオトコさんは言うが、あなただってサバイバル経験豊富なだけで魔法使えないじゃないと思ったもののこの人がいないとろくにテントも用意できず凍死していたかもしれない。
「キノコ美味しいですよ」
そうすすめてくる大学院生はキノコの専門家らしい。この人も魔法は使えないらしい。
結局、魔法使えるのって僕とアナスタシアさんだけなのか。僕は残りのキノコをほうばりながら落胆した。
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