ココロやさしい男友だち

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アッちゃんはその後 3回、結婚をすることになるわけですがそれがまた 小説みたいなホントの話 なんです まず初めは、受け持ちの 患者さんでした 彼女は白血病で、余命一年だったそうですが二人は 結婚します アッちゃんのことですから やれることは何でもやって あげたと思います 宣告通り、一年で奥さんは 亡くなりました 失意のどん底のアッちゃんに会ったことがあります 「わかっていたんだけど 奇跡が起こるかもなんて 医療従事者とは思えない ようなこと、言っちゃうけど悲しいよ」 かける言葉もありません でした それから5年後くらいに 年下の女性と再婚しました 女の子も生まれて 「子どもってかわいいな」 と、私に言っていました すると、お子さんが一歳になった頃、奥さんが 衝撃的な告白をしたのです 「ずっと言えなかったけどこの子はあなたの子ども ではないのごめんなさい」 ショックを受けたアッちゃんは離婚をします でも、「この子には罪はないから養育費は払うよ」と 言ったそうです そして、「結婚指輪は海に 投げたよ」と私に言いました 信じられない どうしてなの? 色んな思いを蹴散らすようにアッちゃんは看護士として一生懸命に働いて経験を 積んでいきました ある年の同窓会で 「今日、オレ、ホテルから 直行して仕事したんだよ」 などとアッちゃんが言うんです 「えっ?ホテル?」 私が聞き返すと 「うん、ラブホテルだよ」 と、あっけらかんと言いました 私は幹事だけどそこまで 報告してくれなくても 参加費だけくれればいいんだけどな と、思いながら でもある意味、普通の男子で良かったと思ってしまう私がいました それから数年後 今度は看護士さん仲間の 女性と結婚しました 「オレの奥さんも流れて来た人だから色々あったんだと思うんだよね でもそういう事は聞かないんだ 今はすごく気楽でいいよ 奥さんも仕事してるから 早く帰宅した方が ご飯、作るんだよ 良いでしょ」 と、言いました うん、いい! 良かった!本当に良かった! 小説みたいな人生 アッちゃんからは苦労してきた雰囲気はみじんも 感じられない 人間、生きていれば なんとかなるんだよ アッちゃんから教えてもらった気がします アッちゃん、真面目に生きるって、素敵だね そう言ってあげたい ココロやさしい男友だちです
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