正義の味方

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正義の味方

 待ち合わせは噴水の前。  母の日のプレゼントを買いに行こうと友人を待つ私は、衣替え前の分厚い制服を着ている。  友人は、同じ学校の生徒では無い。保育園の頃からの付き合いである彼女は、最近妙な友達と遊ぶことが多く、久しぶりに誘われて嬉しい。  ところが、である。  既に待ち合わせ時間は過ぎている。待ちすぎて髪の毛がしっとりしてきた頃、私の前に一人の男が現れた。 「さーちゃん。さーちゃんだよね。おお、制服いいじゃん。似合ってる。今暇なの。暇ならちょっと、コーヒーでも飲まない。あ、コーヒーって飲めるんだっけ、卵はもう平気だったっけ。シュークリームとか食べよ」  知らない男。  ナンパ。  男と話すのは苦手だ。  それにしても、どうして私の名前を知っているのだろうか、知人にしては年上すぎる。この人は若くは無い。  少なくとも中学三年生の私よりは年上だろう。 「お、パンパンマン好きなの」 「え、あ、大丈夫です。直ぐ友達くるので、暇じゃありません」  学生鞄に着いたパンパンマンのネームタグ、さーちゃんとサインペンで書かれているのだった。  これか、コレで名前がバレたか。     
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