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「ただいま~!」
「おかえり~!」
私は手洗い・うがいをササッと済ませ、そそくさと台所へ。
ー ガチャッ! ー
「あれっ? ママ~!」
「何~?」
「私が楽しみに置いてたプリン、冷蔵庫にないんだけど~?」
「あらっ?! もしかして、お兄ちゃん、あんたの分も食べちゃったのかしら?!」
「え~~~ッ! 今日学校から帰って来たら食べよって、楽しみにしてたのに~~~ッ!」
「よく見てね~。……やっぱり、ない~?」
「ないわよ~ッ! もう~ッ! 妹の、分までプリンを、食う、兄めッ!」
私は、断腸の思いで、洋菓子を諦め、おはぎと緑茶の和菓子に気持ちをシフト。テレビの前のテーブルにそれらを置いて、リモコンを操作した。
「あれっ? ママ~! 私が録画してたアニメ、消しちゃったの~?!」
「ママは何も触らないわよ、機械オンチだもん」
「だよね~」
「あ、さっき、お兄ちゃん、ハードディスク一杯で録画できね~って、ボヤイてたわね~」
「え~~~ッ! テスト終わったら観ようって、楽しみにしてたのに~~~ッ! 楽しみに、してたアニメを、消す、兄めッ!」
ちょうどボヤイているところに、兄が2階から降りて来た。
「ちょっと! お兄ちゃんッ!」
「何?」
「何じゃないわよッ! 私が楽しみにしてたプリンは食べるわ、アニメは消すわ、何なのよッ!」
「いいじゃんか、お礼の前倒しってことで♪」
「何ホザいてんのよッ! そんなことばっかしてっから、彼女できないんだよッ! このバカ兄貴!」
「できたよッ♪」
「えーーーッ! うっそぉーーーッ?!」
「それもさ、お前が片思いしてる彼と、幼馴染みなんだってよッ!」
「うそッ?!」
「うそじゃねーよ! お前のこと話したら、協力してくれるってよ」
「えっ、マジッ?!」
「マジッ! だから、そのうち、お前の口から、『お兄様~』とか……」
「言わないッ!」
「『兄上~』とか……」
「いつの時代じゃッ!」
「おまえ、どうせ、今年も予定が真っ白な『ホワイトクリスマス』なんだろ?」
「『どうせ』じゃなくて、『たまたま』です~ッ!」
「はいはい」
「あ、バカにしたぁ! 今、バカ兄貴が、か弱い健気な妹をバカにしたぁ~!」
「じゃあ、そのたまたまに、『タマタマ』ぶら下げてるそのオスを、連れて来てもらうから」
「オスって言うなッ!」
「いいな、4人でメシ行くからな!」
「えっ?! ほんとにィ~♪」
腹立てど、ニクイ段取り、する、兄めッ!
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