ぬくもり。

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すると、中2の息子が、 「俺も、かーちゃんが、かーちゃんで良かった。」 と言ってきた。 理由は幾つか言っていたが最後に、 「俺が良くない事とか、間違った事したら、俺のためを思って注意してくれるから。」 と言っていた。 私は嬉しかった。 息子は発達障害で、小学生の頃は、よく暴れていた。 体の大きな息子は、部屋の壁を蹴って穴を 開けたり、テーブルを思い切りひっくり返 して、食事を全部床に、ぶちまけたり、 私と、取っ組み合いをして私の足を思い切 り踏み、足の親指にヒビが入ったりもした。 そして、どの時も最後には、そんな酷い事 をした自分を責め、号泣するのだ。 可哀想で胸が締め付けられる思いと、 本当に先が見えない不安で、いっぱいだっ た。 あの頃からは全く、そう、全く想像も つかない、今、という未来が待っていた。 彼は今私と口喧嘩はしても、少ししたら 自分の悪かったところを言い、きちんと 謝り、私の指摘が、愛情から出たものと、よく分かってくれている。 言わないとわからない… 言っても分からない… から、 最近は、 「言われなくても、その位分かる。」 と逆に言われるように、なった。 一瞬ムッとするが、その成長を密かに 嬉しく思ったりする。 息子と娘に、 「ママも、2人の事、大大大好きだよ。」 子供は私の事を、 「無限に大好き!」 と表現してくれる。 安いメロドラマの様な決まり文句の様だが、 私達の気持ちは確かに、そこにあった。 ぬくもりを感じ合いながら、 その夜も仲良く、川の字になって、 温かい気持ちをそのまま布団に持ち込んで 眠った。
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