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「と~に~か~く~」
何とはなしにイラっとさせられる口調で少女は口を開いて顔の前でチッチッと人差し指を立てた。
語尾を伸ばすな。お前は今時のJkか!と思って、羽根はともかくそれ以外の見た目はJkそのものだと健は思い直す。
健の周りのJkにはここまでバカっぽいしゃべり方をする奴はいないが。
瞳の色こそ緑だが、年の頃はちょうど15、6だし着ているものは白の五分袖ブラウスに腰にリボンのついたタータンチェックのプリーツスカート、華奢なビーズの飾りがついたヒールの高いサンダルと、ごく普通の街中でよく見るような服装だ。
むしろ普通過ぎて背中の羽根と周りの樹海な風景との違和感が半端ない。ってか羽根の部分、服はどうなってるんだろう。
少女は拙い胸をエッヘンと張ってツンと顎を上げて言う。
「とにかくそういうことですので、まずはここでレベルアップを図ってもらいます。ここなら出てくる魔物はウッド系だけなので数は多いし枝はちょっと厄介ですけど基本そこ以外動かないので初心者にはちょうどいいはずなのです。この美少女天使のラスティナちゃんがしっかりサポートしてあげますから、一緒に頑張りましょうね♪」
張り切った様子でガッツポーズとかしてるが……。
「いや、ちょっと待ってくれるか?」
そう言った健の身体に、少女の言うウッド系の魔物なのであろう木の一つが枝をしならせて鞭のように襲ってくるのを、後ろに跳んで避けた。
様子見中なのか、木は枝をうねうねさせるだけでそれ以上仕掛けては来ない。ついでに目玉がギョロギョロ上下左右に動いていて気持ち悪い。
「せっかくの申し出だが」
口を開きながら、コレのどこが初心者向けなんだ。と胸中に悪態をつく。確かに周辺に蠢く樹木の群は地面からを掘り起こして巨体全体を動かす様子はない。
おそらく動かせるのは枝の部分だけなのだろう。
だが、
(数が多すぎるだろ!)
なんといっても周辺中どこを見ても木、木、木である。
360度完全に囲まれている。
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