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「そうだね、今日から数えて五十五年と三カ月前、ある兄弟が庭のリンゴの木に不思議な白色のリンゴが実っているのを発見したんだよ。」
「そんなリンゴあるの?見たとき無いよ!」
「そうだね、普通のリンゴは赤色だもんね。」
「じいちゃん嘘ついてる!!!!!」
「ははっ、そうかもしれないね。」
「でも、これからその兄弟がどうなるか知りたいかい?」
「うん!」
元気よく答える孫は、宿題から逃れたく私の話しに耳を傾ける。
「周りのリンゴは全部赤色で艶もよく、とてお美味しそうに実っていたが、兄弟はどうしてもその白いリンゴが気になって気になって仕方がなかった。」
「そこで、兄は木に登ってそのリンゴを摘み取ると、ワクワクしながら下に降りてきました。」
「どんな味だったの!?」
孫は興味津々に目を輝かせ、私に聞いてきます。
「それはね、味は無かったんだよ。」
「え…?」
「そのリンゴには味が無かったんだよ。」
「二人はがっかりしながら不思議なリンゴを放り投げた。」
「しかし、翌日になるとまた白いリンゴが実っていたのだ。」
「またまた不思議に思った彼らは、今度は親にそれを教えると。」
「どこにそんなリンゴがあるんだい?そんなことより早く収穫しないとカラスにやられてしまうな。」
父親は次の暇を見て収穫してしまうと子どもたちに告げると、母親も夢を見ていないで勉強をしなさいと優しく促した。
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