石塚先生

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休み時間になると、女の子達は石塚先生の話で持ち切りだった。「私、石塚先生と結婚する。」という女の子もいた。私もどちらかというと好みのタイプで親友のゆいちゃんとしばらく石塚先生を見ていた。 石塚先生は職員室には戻らず、しばらく私達のクラスを見ていた。すると、戸棚の百日紅に目が止まってしばらくじっと見ていた。 「ねぇ、そこの君。」 しばらくぼーっとしていたから、先生に急に声をかけられて、「はいっ。」と裏返った声で答えてしまった。 「あっ、ごめんね。名前はなんていうのかな?」 石塚先生は笑顔で話した。 「あっ、私は福岡咲良です。こっちが親友の松村ゆいちゃんです。」と答えた。 「へぇー。咲良ちゃんとゆいちゃんだね。どっちもかわいい名前だね。ところでこの花きれいだけど、なんていう花なのかな?」 「これは百日紅って言うんです。この花を飾れば塚原満に殺されないらしいんです。」小学生とはいえ私も異性に興味をもつ年頃だ。おまけに顔が整っているから緊張してつい丁寧な言葉が出てしまった。 「へぇー、そうなんだ。」と百日紅に向かって言ったあと、「教えてくれてありがとう。」と笑顔で答えてくれた。私は嬉しかったが、百日紅に向かって言った言葉が心なしか低いトーンで言ってたことが気になった。隣を見るとゆいちゃんは固まったようにしばらく動かなかった。
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