石塚先生

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石塚先生の授業は特に面白い話をしてくれるわけではないが、分かりやすい授業だった。でも私は先生の顔ばかり見てしまってあまり授業に集中できなかった。 先生は終始笑顔で優しい口調で話していて、午後になると、だんだん眠くなってきた。でも頑張って起きなきゃと思い、顔を叩いたりなどをしてとにかくやり過ごした。すると「福岡さん大丈夫?」と先生が声をかけてくれる。優しい。こんな優しい先生がずっといてくれたらいいのにと思った。 でも中には寝ている子もいてた。バスケが得意で昼休みによくバスケをしている勝俊君だ。勝俊君は昼休みのあといつも寝ていて、よく先生にたたき起こされていた。そして今日も寝ていた。でも先生はたたき起こそうとはしなかった。代わりに勝俊君の首に触っただけだった。その瞬間勝俊君が血相が悪そうな顔で起きた。息も荒かった。えっ、先生今何したの?勝俊君が怖そうな顔で先生を見た。でも先生は何事もなかったかのような顔で「勝俊君おはよう。嫌な夢でも見たのかな?」と相変わらずの優しい口調で問いかけた。勝俊君は何も答えなかった。ただただ怖そうな顔で先生を見つめているだけだった。怖そうな顔で見つめているのは勝俊君だけじゃなかった。勝俊君の隣に座っているゆいちゃんもだった。でもそのあと先生は相変わらず普通に授業を続けていた。
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