第1章 お酒と果肉

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第1章 お酒と果肉

―――― 「どいつもこいつも『完璧』があると思っている。気分が悪い。限界だよ」 「……もしかしてあなたのことをそんなふうに言うの?」 「何を根拠にそう言うんだ。おれが何をしたってんだ」 「ロン。怒ってるのね……あたしに愚痴を……」 「苦しい。苦しくて動けない……」 「……ねえロン。あたしは、悪いけどあなたが完璧なんて思ったことないわよ」 「……」 「だって人でなしだもん。話が通じなくて苦労するしコミュ障じゃないの。――でもね。完璧に見えて全然そうじゃない問題児なあなたがだいすき」 「アンジー……」 「――あ。あたしのことアンジーって呼んでくれるようになったの」 「おれの『天使(エンジェル)』っていう言葉は相当特別なんだ、本当は」 「……特別じゃなくなったの?」 「逆だよ」 「逆?」 「特別だから……だよ」 ――本当に特別な言葉は本当に大事な時に使うべきだ。 ――――
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