ボストン茶会事件

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 休日出勤扱いになることは分かっていて来た。休日出勤の場合は自分で書類を書いて申請しないと給料に加算されない決まりだった。反対に、書類を出さなければただ忘れ物を取りに来たか、お茶でも飲みに来ただけの扱いになる。  今日は書くほどのことではない。さっさと準備に取り掛かった。必要なものを取り出していく。  シルバークレイ。以前から個人的に入手してここに置いておいた、水を加えて練って成型できる銀の粘土である。  白衣。それからマグカップ。クッキングシート。  それらを全て手提げに入れたところで、ちょうど先輩が通りかかった。 「――おうロン、ほんとに来てたんだ? 受付の皆が騒いでたぞ。どした?」 「……私用です。実験室、借りますね」 「私用で? ははっ、何、何か作んの?」 「まあそういうことですね」 「実験室だもんな? へー、今日は誰も使わない予定だったはずだから好きにしたらいいよ」 「そうですか」  研究所の実験室を利用するためには器具を扱ったり薬品を扱ったりするために半年分の研修を受ける必要があった。研修を終えた研究員には実験室の利用許可証が与えられ、当然彼もそれを所持していた。言うなれば半年ではなく4か月で修了していた。  休日出勤とは言え実験室を使った場合は報告書を書かなければならない。書類のストックからその原本のコピーを持って、研究個室を出た。     
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