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これは私が中学生の夏のお話。
仲のいい子達と夜、近所の山へ登りました。
その山はそれほど高くはなく、頂上までの道も1本で迷子になる心配もありません。
あの時は10人くらい集まって、みんなで頂上にある鐘を鳴らしに行きました。
上り道は何事もなく、みんな揃って頂上の鐘を鳴らしました。
冒頭にも書いたように、昇り降りできる道は1本。
ただ、おかしなことが起こったのです。
話しながら降りてきたし、1本しかない道。迷うはずもありません。
でも、下りきって気がついたのです。
数人、いないことを。
しばらくはただ遅れて降りてくるのだろうと思っていました。
でも、5分経っても降りてきません。
不安になった時、電話がかかってきました。
「もしもし?今どこにおるん?」
「あんな、迷子になったんじゃが」
「え?なんでなん?」
「分からんのよ、道がな、ないんよ」
「道がない?」
1本しかない道が、どうしてなくなるのか。
先に降りた私たちには全くわかりませんでした。
結局またみんなで山に登り、迷った数人を見つけました。
その子達は、ごくごく普通に道の真ん中にいたのです。
私たちが声をかけると、信じられないというような顔をしていました。
「道あるじゃん」
「でも、ほんまになかったんじゃって!みんなどっから来たん!?」
「どっからも何も、普通に上がってきたんじゃけど…」
あれこれ話しながら、今度は全員が山を降りることが出来ました。
ただ、その時…
頂上の鐘が鳴ったのです。
私達は、誰ともすれ違わなかったのに。
道は、1本しかないのに。
みんな怖くなって慌てて帰りました。
数年後、バイト先のカメラ好きな人にその話をする機会があり、こういうことがあったんですと言ってみると
「あぁ、あそこの山は何かあるよね。自分カメラ持って何度か行ったけど、撮った写真は半分だけ真っ黒だったり、そもそもシャッターを切ったのに何も写らなかったり、カメラの充電して行ったのに電源が落ちたりしたんだよ。」
私は今でも、あの日を忘れられずにいます。
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