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小雪の降る中、街にあふれだすイルミネーションの輝きが、俺の心を悲しみへといざなう。
行き交う人々はみな幸せな、暖かい心の想いを持ち、その想いを互いに分かち合うのが伝わる聖夜の夜だった。
その日も俺はこの街の中を一人妹を探し、さまよっていた。
ふと、教会のある海辺の小さな公園にたどり着いた。
教会からは、懐かしい思い出深い曲が、かすかに聴こえていた。
「カノン」
親父たちがまだ生きていたころ、よくこの曲を訊いていたのを覚えている。
ヨハン・パッヘルベル。バロック期のドイツの作曲家が生み出したこの曲。親父は古びたレコードでこの曲を何度も聴いていた。
途中針が飛んでノイズが入る場所さえも記憶にあるくらいだ。
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