11人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうしたの? こんな夜空を見上げて」
彼女が不思議そうに言う。
「なんでもないさ」
「もしかしてまた思い出していたの?」
「……たぶんな」
「そうかぁ、寂しいよね」
「ああ、」
「でも私は、あなたの妹にはなれない。ううん、あなたが愛する人にはなれない。どんなにこの身があなたの愛する人に似ていようとも」
「そんなことはわかっている。君は君であることに」
「わかっている。でもあなたの心の中ではそうは思っていない。それはどうしてなのかもこの私に問いただすこともしない」
問いただすこともしない。
そこに触れれば彼女は、まやみのと同じようにもう僕の前から姿を消し去ってしまう。そんな恐怖感が、僕を襲う。
最初のコメントを投稿しよう!