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「お店、今日はお休みなの?」
「ああ、今日はもう店じまいしてきた」
「クリスマスなのに?」
「うん、クリスマスだからね」
「そう」
少し悲しげな表情をする彼女に
「君のせいじゃないよ。俺が勝手に休んでいるんだから、気にすることなんかないじゃないか」
「そうだけど……」
「こうしてまた君と会える事の方が重要なんだよ」
「変なの。どうして私と会うことがそんなに重要なの?」
「さぁな、どうしてかな」
「いつも会っているじゃない」
「一年に一度だけな」
「いじわる。そう言って私をいじめて楽しい?」
「いじめてる? 俺が君を。こうして毎年会いに来ている俺に、そんなことを言うのか」
「そう、言うの」
彼女はまっすぐ顔を上げ、きっぱりと答えた。
「毎年会いに来ているのは私の方なのに」
「そうかもな」
あとは何も返すことができない。
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