第1話.Xmas

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「ねぇまだ後悔しているの?」 「何をだ?」 「お医者さん辞めちゃったこと」 「もう、引きずってねぇよ。」 「ホントかなぁ?」 「疑い深いなぁ。もう未練もないぜ。俺には喫茶店のマスターのほうが性にあっていたようだ」 「ただ珈琲入れるだけの仕事なのに?」 「そうだ、ただ旨い珈琲を入れるだけの仕事が俺には向いている」 「それって私のせい?」  小気味よく響いていたブランコの音がやんだ。 「そうっかぁ、じゃぁ、今は満足しているのね」 「ああ、満足している」 「でも幸せじゃないんでしょ。いつも寂しい顔しているもの」 「幸せさ、こうして毎年君と出会うことができるんだから俺は幸せものだよ」 「恥ずかしいじゃない、そんなこと言うなんて。ずるい!」 「そうか、ずるいか。でも俺の本心だ」 「ふぅ-ん、そうなんだ。本心なんだ」  ニッコリと微笑む彼女の顔を目に焼き付けるように眺めた。
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