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「…奈央,アンタいつまでウジウジ悩んでんのさ」
親友の槙田葵が,呆れかえって奈央にゲキを飛ばす。
葵が呆れるのもムリはない。奈央が失恋したのは,三学期の終わり。彼女はそれから二週間ずっと,親友のため息や自虐も交えた失恋話を延々と聞かされていたのだから。
「そんなネガティブなことばっか言ってたら,次の恋なんかできないよ。男はアイツだけじゃないんだからさぁ」
「そんなこと分かってるもん」
親友が親切心で言った言葉に,奈央は口を尖らせて反発した。…大体,「次の恋」なんて想像すらつかないのに。失恋したばかりの人に言うセリフかな,それ?
「そんなに後悔するくらいなら,はっきり告ればよかったのに。『お友達になって下さい』なんて言ったから」
「う…っ。だって…,はっきり言う勇気なかったんだもん。はっきり言ってたって,私フラれてたよ,きっと」
奈央がネガティブ発言をすると,葵は「ホラまたぁ!」と鋭いツッコミを入れた。
「いい加減,気持ち切り替えなって。…ホラ,もうすぐ新学期じゃん?学年変わったらさ,新しい出会いもあるかもよ~♪転入生とか,新任の先生とかさ」
彼女はそう言って,奈央を励ます。新しい出会いイコール新しい恋になるとは限らないのに…。
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