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桜の花びら
「あ~あ,こんなハズじゃなかったのに…」
高校一年生の春休みも終わりに近づいた四月のある日,樋口奈央はガックリ肩を落とした。…もう何度目だろう?
初めての失恋。それも,よりにもよって初恋に破れたのだ。
彼女は半年ほど前に,初めて好きになった同級生の相原太一に勇気を振り絞って,自分の気持ちを伝えた。ただ,はっきり「好きです!」と言う勇気まではなかったので,実際にはこう言ったのだけれど。
「相原君,私とお友達になって下さい!」
…そしたら,半年間本当に「お友達」のまま,奈央と相原の距離は縮まることはなかった。
そして,遡ること二週間前。
「…悪りぃなぁ,樋口。オレさぁ,隣りのクラスの佐々木と付き合うことになったんだわ」
「え…」
彼の爆弾発言に,奈央は言葉を失った。
相原の「彼女」になった佐々木優菜は,学年一の美少女で,明るい人気者。彼氏の座を狙っている男子も多いと聞いたことがある。
地味で引っ込み思案で,勉強ができることだけが取り柄の奈央とは真逆だ。所詮,敵う相手じゃなかった。けれど…。
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