人間を見ている

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そうして私は宿題を終わらせると横になって携帯に目を通した。すると久美からの通知が来ていた。内容は英語の宿題の答えを送ってくれというものだった。私は仕方なくさっき終わらせたプリントを写真を撮って彼女に送った。数分後通知が来てそこには「ありがとー」というメッセージとおそらく関係ないであろう絵文字が送られてきた。私はそれにスタンプで答えた。彼女はいつもこんな調子だが。私もいつもこんな感じだ。   久美は気さくで明るい中心人物のような人間だが。私は違う。日陰者というわけではないが、目立って明るいというわけでもない。スクールカーストという物だろうか。 例えば久美が私の悪い噂を友人やクラスメイトに言えばたちまち学校に私の居場所はなくなるだろう。私がいくら弁解しても、それは無駄なことだ。だけど彼女はそんなことはしない。 きっと小さい頃からいろんな人に愛情を受けて育ってきたのだろう。彼女は私と違って綺麗な顔をしているし、性格も綺麗だから。   私はお風呂に入って着替えをするとまた携帯を見た。友達と会話したりネットサーフィンしたり音楽を聴いたりする。私の時間はこの電子機器にどれだけ奪われている事だろうか。一時期、携帯に依存しすぎている自分が嫌で一日に携帯に触る時間を制限したことがある。けれど結局できなかった。友達からの通知が来ているかもしれないと思うと、不安で何も手につかなかった。 こんな自分を私は軽蔑したが、これはしょうがない事なんだと思う。 今を生きてる高校生にとって学校の世界はあまりに強大なのだから。私はそんなに強くない。     
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