第一章 始まり

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今のシステムのままではいずれ街に子供減り、作物は少なくなり仕事も選べなく、食べるのに困る時代がくる。 ルークは自分の子供にもそんな辛い思いをさせたくないし、自分が育った街がこのまま潰れていく様を見たくなかった。 そう考えている内にある計画を思いつく。 街の活性化の為には、外からの新しい風が必要だと。 この街以外の技術や考え、知識、食材や文化を取り入れることで、人手不足や食料不足などの原因を解決しようとした。 外部との交流を増やし流通を増やすことは、街にとって大きなメリットに成り得ると。 この街の住人たちは外の世界に人類が存在していることを知らない。 というよりはそんなこと考えたこともない。 ルークもある疑問を感じるまでは、そんなことを考えたこともなかった。 その疑問とは農業区の手伝いでルークが市場に出向いた時だった。 自分の知らない食べ物がずらっと並べられている光景を目の当たりにした時、あることに気付いた。 この街の食べ物は殆ど口にしたことがあるのに、それを捕っているところを見たことが無かった。 魚と呼ばれる生き物はどこに生息して、どのように捕られているのか。 得体の知れない肉は、なんの生き物でどこから運ばれてきたのか。 そう考えるとこの街は意外と不思議なことが多く存在していた。 工業区で作られる服やなどの原材料はどこから運ばれてくるのか。 鉄などの鋼材はどこで手に入れ、加工されているのか。 肉や魚などの食べ物はどうやって入手したのか。 ルークはこの疑問から外部で何らかの方法でやり取りしている可能性が高いことが分かった。 外の出られないなんてことは誰かが言い始めたでたらめで、森の外には簡単に出ることが出来たのかもしれない。 つまり、この街の住人は知らずのうちに閉鎖的になり、小さな街の中でしか生きられないと思い込んでしまっているのだ。
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