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ここでルークに任せて無闇に暴れられても困ると考え、まずは一連のやり取りを知った上で、対策を取ろうと明日に備えることにした。
「先に帰る」とギルは屋敷の裏に生えている草むらから開発区の方へ帰って行く。
ルークはもう少し残っていると王族の会話を引き続き盗聴していた
ギルは帰り際に「絶対バレたらダメだからな」と念を押して帰る。
今のルークは頭に血が上ったら勝手に乗り込みかねない。そう思っての言葉だろう。
「今月も出荷量が下がっています。そろそろ何か対策を考えなくては」
屋敷の男たちは引き続き何かを話していた。
「学校なんてものを無くして、子供にも働かせればいいだろ?」
「ですが、そうすれば開発区や工業区に優秀な人材が減ってしまいます」
今年は雨風の災害が多く、米や野菜の収穫がかなり少なかった。
それに働き手の問題もあり、年々収穫量が下がっているのは目に見えて分かっていた。
ここで機械の調子が悪くなり、先の会話が聞き取れなくなった。
だが、この会話から王族たちによってキャストタウンそのものが支配下にあることを確信した。
腹の中で沸々と怒りがこみ上げる。
ルークの怒りは我慢の限界ギリギリのところまで来ていた。
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