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しばらく歩くと洞窟の奥の方から明かりが見える。
洞窟の天井に吊るされた電球から光が放たれ、真っ暗な洞窟内を照らしてくれている。
「なんでこんなところに電気が」
不思議そうにその光を眺めるギル。
洞窟の中に電気あるなど、違和感しかない。
そんなことを考えながら、更に歩を進める二人は洞窟の出口に差し掛かる。
ジャリっと砂を踏むような音と、ザーっと一定間隔で聞こえる不思議な音に二人は驚いた。
「な、なんだ? あれは」
目を丸くして驚くルーク、その隣では言葉も出ないほど唖然としているギル。
ギルは驚いたかと思えば、何やらブツブツと独り言を喋り、目の前の光景を分析していた。
研究者としての血が騒ぐのか、ルークにとってその光景は見慣れたものだ。
二人の目の前には大量の水が押し寄せては引いていく。
二人の人生でこんなものを見たことも無ければ、聞いたこともない。
更に、数メートル向こうには王族たちの群れが何やら台車にせっせと運び込んでいる様子も伺える。
荷を運び出しているのは大量の水に浮かぶ家のようなもの。
人間の何倍もの大きさの木が水の上に浮かんでいる。
あれが王族たちの話していた「船」であることに二人はすぐ気付いた。
「おい! ギルあれ見ろよ!」
「あれで外から物を運び込んでいたのか」
「船ってのはこの水の向こうに行けんのかな?」
「そうだろうな。でないとどこから運んで来ているのか説明がつかない」
ギルは難しい顔をして答える。
二人が話している間にも台車には次々と荷が運ばれ、次第にその作業も終わる。
台車には大きな布が被せられており、その膨らみから大量の何かが運ばれているのが伺われる。
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