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「こらこら、慌てないの」
微笑むラミは、ノエルの嬉しそうな表情に満足そうに言う。
食事中は食べるのに必死で二人の間に会話は無かった。
ラミは夢中になって食べるノエルの姿を見て、お腹一杯なのかあまり料理には手を付けていなかった。
しばらくし、食事を終えるとノエルは母に疑問を投げる。
「ねぇお母さん」
「なに?」
「この森の外にはさ、何があると思う?」
ノエルの質問にいつも優しいラミが目の色を変えた。
丸い目を見開き、高い金切り声で「何を言ってるの!」とノエルに向かって叫ぶ。
ラミの姿にノエルは一瞬怯む。
いつも穏やかなラミがこんな姿になるのは見たことがない。
「いや……。ちょっと気になったから」
「いい? 外のことなんて考えなくていいの。あなたはここでずっと生きていけばいいの」
ラミはノエルの顔を両手で包み込むようにし自分の顔を近づけ、そう言った。
さっき程の勢いはなく、次はどこか悲しげな表情を浮かべ最後には「お願いだからあなたはここにいて」と涙を落とした。
その涙はノエルのズボンに一粒落ちて、そのまま染みていく。
どういう意味だろうか。
ノエルは父となにか関係しているのか気になったが、ここはあえて黙っておいた。
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