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「で、どう思う?」
「どうって、これじゃ無理じゃない?」
ヴェンの案を否定するノエル。
もうこのやり取りを何度もしている。
「はー、なんか良い案ないかな」
「ヴェンはさ、なんで僕を誘ったの?」
ヴェンは呆れた表情でノエルを見た。
「今更かよ」と笑いながら、寝ている体を起こし、腕を上に伸ばした。
「ノエルが答えを求める人だったからかな」
「なにそれ。よく分かんないだけど」
ノエルは困惑した表情でヴェンに言うが「分かんなくてもいいよ」とすぐに話しを切られた。
二人はルークの日記に書かれていたことが本当なのか、まずはそれを確かめようとしているのだが、全くいいアイデアが思い浮かばない。
日記の中では洞窟に入ったと書かれているが、方角も地図も何も記されていない。
「なんで父ちゃんは地図を描いてくれなかったんだろうな」
愚痴を言いながら再び横になるヴェン。
今日は学校が休みで朝からずっとこの調子だ。
「実際に外に出てみたら?」
「なんで他人事なんだよ」
ヴェンの厳しい突込み。
ノエルは昨日の母の姿から、自分が森の外に出る事に少し戸惑いを感じていた。
そんなことを知らないヴェンは、ノエルと一緒に外に出ることばかりを考えている。
戸惑いの中、ヴェンに昨日の出来事を話し、理解してもらうことは可能だろうか。
ノエルの頭の中では外に出ることよりも、ヴェンに納得してもらえる方法を模索していた。
「あのさ」
なんの考えもまとまってないが、気付いた時にはノエルはそう言っていた。
この後の言葉なんて特に考えていなかったノエルだが、「昨日、母さんに話したんだ」と素直に起こった事実を伝える。
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