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ずっと一緒
“ねぇ、どうしていつも寝ているの?”
「ごめんな、もう起き上がる気力もないんだ・・・。鍵はあいてるから、いつでも行っていいんだぞ」
家族もいない、行き場もない私をずっと育ててくれたあなたを置いて、出ていけるはずもないのに。
私がなくと、大きな大きな身体でそっと抱きしめてくれる。
寂しい時、寒い時、このぬくもりが幸せなんです。
この幸せを奪うのは、いくらあなたでも許せないのです。
あなたに忘れられないひとがいるのは知っているの。
私は会ったことがないけれど、写真立てにあなたと映った女のひとは、幸せそうに笑ってた。
もう、いないけれど。
あなたが一番大切にしていたひとだってことだけは、伝わるから。
そのひとの次でいいから、愛して欲しかった。
ジッと見つめると、困ったように眉を下げるあなたの顔も好きなんです。
私とあなたは身体の大きさも違うし、年齢もかなり離れてる。
それでも一番大切なひとなのに、あなたは何故私を遠ざけようとするの?
“ねぇ、ぎゅっとして”
「ごめんな、ごめんな・・・最期まで一緒にいたいって思ってしまって、お前を手放せなかったよ・・・」
“なんで謝るの? わたしはとっても幸せなのに”
これからもずっと一緒だよ。私はまた少しだけないた。
ぴったりくっついているのに、少しずつあなたの身体からぬくもりがなくなる。
それが不思議で、あなたが暖まるようにぎゅうぎゅうと身体を押し付けた。
“お布団なのに寒いね。でも、ずっと一緒だよ”
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