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どこの街でもそうだろう。
この街の教会にも、聖歌隊があった。
歌うよりも、ヴィデオゲームやサッカーをやりたい盛り。
人生の中でほんの一時期だけ、「コルネット」の声を出せる年頃の少年たちが集められる。
そんな類いの。
そこそこに「才」があった僕は、ソリストだった。
あと、一、二年もすれば声変わりは避けられないだろう、その直前の一番「いい」時期。
当時は僕自身も、聖歌隊での活動をなかなか「気に入って」いた。
隊ではリーダー格だったし、指揮者からもオルガニストからも気に入られていた。
司祭さまからも親からも、教区のひとたちからも歌声を褒めそやされれば気分もいい。
「歌うこと」が「好き」にもなろうというものだ。
待降節っていうのは、心穏やかにイエス様の降誕を待ち望む時期なのだろうけど、聖歌隊としては、毎年のことだが、クリスマス礼拝のための練習が佳境に入ってくる。
アンドリューがやって来たのは、ちょうどそんな時だった。
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