47人が本棚に入れています
本棚に追加
*
そして、しばらくぶりに、アンドリューの父親から手紙が届いた。
目覚めの報せが。
指定の場所にたどり着けば、十七歳のままのアンドリューが、かわらず僕を迎え入れる。
けれど彼の気配には、どこか翳りが見えた。
僕は、それに気づかないフリをしようとした。
あのキャンドル・リースに火をともす。
ユーカリも針葉樹も、零れ落ちた蝋に汚れ、随分と古びてカサカサに乾ききっていたけれど、それでもまだ、それはきちんと形を保っていた。
「どうして、こんなに古くなっちゃったんだろうね」と。
リースに視線を落とし、アンドリューが呟く。
けれどすぐ、自分が止めていた時の長さに思い至ったのか、せつなげに眉根を寄せて押し黙った。
「ねえ、ローレンス、最近きみは、どうしていた?」
そんな風にアンドリューが、まず僕の近況を訊ねる。
だが、彼に語ることはないのだ。
前に僕と別れた日から、アンドリューの時間は止まっている。
去年、所属するコーラス団が、世界ツアーを行った。
僕はその話を、アンドリューに語ってきかせた。
やがて、僕は話し疲れて、座を沈黙に明け渡す。
「ねえ、しない…の?」
僕と目を合わせないままに、アンドリューが言う。
最初のコメントを投稿しよう!