いつか目覚めた朝に(最終話)

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* そして、しばらくぶりに、アンドリューの父親から手紙が届いた。 目覚めの報せが。 指定の場所にたどり着けば、十七歳のままのアンドリューが、かわらず僕を迎え入れる。 けれど彼の気配には、どこか翳りが見えた。 僕は、それに気づかないフリをしようとした。 あのキャンドル・リースに火をともす。 ユーカリも針葉樹も、零れ落ちた蝋に汚れ、随分と古びてカサカサに乾ききっていたけれど、それでもまだ、それはきちんと形を保っていた。 「どうして、こんなに古くなっちゃったんだろうね」と。 リースに視線を落とし、アンドリューが呟く。 けれどすぐ、自分が止めていた時の長さに思い至ったのか、せつなげに眉根を寄せて押し黙った。 「ねえ、ローレンス、最近きみは、どうしていた?」 そんな風にアンドリューが、まず僕の近況を訊ねる。 だが、彼に語ることはないのだ。 前に僕と別れた日から、アンドリューの時間は止まっている。 去年、所属するコーラス団が、世界ツアーを行った。 僕はその話を、アンドリューに語ってきかせた。 やがて、僕は話し疲れて、座を沈黙に明け渡す。 「ねえ、しない…の?」 僕と目を合わせないままに、アンドリューが言う。     
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