いつか目覚めた朝に(最終話)

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アンドリューの横顔がひどく翳って見えたのは、多分、夕暮れの光のせいだけではないだろう。 潮時だと、僕はゆっくり立ち上がった。 「もう帰るの?」 アンドリューがひどく甘えた声で引き留める。 「今日のところは、これで失礼するさ。でも、もうすこし君の体調がよくなったら、またその時に。ゆっくり会おう」 僕はつとめてさりげなく応じてみせ、ドアに向かって歩き出す。 ノブに指を伸ばしたところで、背後から「……ローレンス!」と呼び止められた。 振り返れば、逆光の窓辺にきらめくキャンドルの炎と、薄明りを背負ったアンドリューのシルエット。 そして、アンドリューが言った。 「メリークリスマス、ミスタ・ローレンス」 ende あとがき・お詫び この話は、もちろん単独でお読みいただくつもりで書いたものですが、 世界観的な設定が、「11月とすべての後で」(ライプハルト・サガ)と共通のものとなっています。 だからなんなんだって感じですが、これらのシリーズはムーンライトノベルズさんに置かせていただいています(こちらはエブリスタさんには転載していません)。 もし気になったら、お立ち寄りいただけると「踊る人形(ホームズ的な)」みたいな感じで喜びます。 ――かの「名作」に敬意をこめて ある待降節に。 God Jul och ett godnytt ar! tack tack och tack for     
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