ごめん、源吾どの!

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共に勘気を被り主家を去らざるを得なくなった身でありながら、源吾どのは会津宰相様に仕官し足軽大将の地位を得た。 素性も知れぬ外様の身ながら今や肩で風を切るが如き勢いと聞き及ぶ。 そんな御仁が、安積野の侘住まいに何の用向きであろう? 某の疑念を他所に源吾どのは青瓢箪の如き顔を莞爾とさせ、戸口に佇んでいる。 「久しいな内膳どの!用向きの最中に参った! どうぞ儂に、湯と夕餉を振る舞うてくだされ。 馬屋の隅でも良いから泊めて下さるとなお嬉しゅうござる。昔話を肴に飲み明かそうぞ」 押し掛けるなり挨拶も無しに茶と飯を催促する厚かましさは昔と何も変わらぬ。
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