1.

2/14
126人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
 弟の悠成(ゆうせい)と私、智花(ともか)が似ていないのは、血が繋がっていないからだ。  5歳の時に両親が子連れで再婚。  現在21歳の私たちは、誕生日が3ヶ月しか変わらない、同い年の姉弟なのだ。 「悠成って、彼女いないの?」 「いないけど、それがなに?」 「そっか、よかったぁ。いたら誘うの申し訳なかったもんね」 「……」  呼び出しといてなんだけど、ちょっと安堵する。  弟はモテるせいか、女の子に頓着しない。  彼女より私を優先してしまって約束を破ったり、冷たくあしらったりする事がある。中学も高校もそんな感じだった。  大学は別のところに通っているのでよく知らないけれど、もし彼女がいてデートの約束をすっぽかしてこちらに来ていたとしたら、申し訳なさすぎる。  私が優先されたり優しくされるのは、もちろん家族だからだ。  他人同士が集まって出来た家族。色々あったけれどなんとか上手くいっているから、きっと彼なりにそれを崩したくないんだと思う。  その心遣いは嬉しいんだけど、お姉ちゃんは心配です……。 「そういえば、パパとママは?」 「デートだって。いい年して落ち着きないよな」 「ふたりにディナーあげたらよかったかなぁ?」 「いや、ディナークルーズがどうとか言ってたから……」  うちの両親はラブラブだ。私たちが大きくなってからは、毎年クリスマスは家を空けて帰ってこない。  だから毎年、悠成とふたりきりでケーキを買ってテレビを見て過ごしていた。 「今年もいつもと変わんないなぁ」  そう毒づきながら、イルミネーションを眺める。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!